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2020年03月30日更新

もう失敗したくない!意外と知らない接着剤の使い方

接着剤はそれぞれの成分によって使い方が全く違う。ということは知っていますか?接着剤には色々な種類がありますが、実はそれぞれに正しい使い方があります。間違った使い方だと、正しい接着剤を選んでも全くつかない!ということになります。今回は正しく接着剤を使いこなすためのコツをお伝えしていきます。

この記事の監修者

監修者 : 芸術大学教員/DIYアドバイザー 野口 僚

徳島県の家具メーカーにて木製家具の製造に携わり、機械加工、仕上げ、組み立て、塗装など木工技術全般と家具製造ノウハウを培う。 その後、体験型DIYショップ「DIY FACTORY」 にて勤務。店頭ではお客様の相談に乗りつつ、一人一人に合ったDIY用品を提案しつつ、同時にDIYレッスンの企画と講師をおこない、日本のDIY文化発展のために尽力する。 現在は大学のデザイン学部の助手として大学内工房に在中し、 学生に対しデザインやモノづくりの手法などを主に教えている。 プライベートではとりあえず自分でなんでも作ってみる精神で、家具から生活雑貨まで幅広く制作をしています。

関連:用途別接着剤の選び方
接着剤ってどれを買えばいいの?素材とシーンにあった選び方

そもそも接着剤ってなんでくっつくの?

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接着剤の効果を最大限に活かしたいなら、
どうやって接着剤は素材をくっつけているのかを知っておきましょう。
接着剤に種類があるように、素材同士がくっつく原理にも数種類あるんです。

機械的接着

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出典:「セメダイン」https://www.cemedine.co.jp/basic/pro/guide/principle.html

投錨効果ともいわれ、材料の表面の孔や谷間に液状の接着剤は入り込んで、
そこで固まることによって接着ができるという考え方です。
小さな釘をたくさん打ち込んだようになるイメージですね。
木や繊維、革などの特に吸い込みのある材料の接着に有効で、
ヤスリなどを使って表面がザラザラしてるほど効果が上がります。

化学的接着

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出典:「コニシ」http://www.bond.co.jp/bond/common/support/pdf/bondbook/bonding_04-05.pdf

化学的接着は、接着する素材同士の間に接着剤が橋渡しとしてくっつけるものです。
表面が埃やサビ、油分などで汚れていたりすると効果が弱くなってしまいます。

物理的接着

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出典:「セメダイン」https://www.cemedine.co.jp/basic/pro/guide/principle.html

イメージとしては2枚のガラス板の間全面に水が付いていると、ピタッと動かなくなるのと同じです。
その液状の接着剤が2つの素材を引き寄せた状態で固まることで接着します。
この接着方法の場合は表面は均一な方が効果が上がり、
なおかつ広い面を確保してあげることで、さらに効果はぐっと上がります。

少し難しいですが、このようにくっつくのにはちゃんと理由があったんですね。
このイメージを持っているかどうかで、上手に接着剤を使いこなせるかが決まります。

よく使う接着剤も使い方が違う!

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家庭でよく使う接着剤といえば、「瞬間接着剤」「木工用」「ゴム革用」「プラスチック用」など
様々な接着剤がありますよね。
片面にサッと塗ってペタッとつけただけじゃほとんどの接着剤は機能してくれません。
どうやって使うのが正しい使い方なのか後ほどご紹介していきます。

パッケージは捨てないで!

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接着剤のパッケージには情報がたくさん載っています。
この接着剤でどの素材をつけることができるのか、どうやって使う接着剤なのか。
という情報は全てパッケージに記載されています。

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接着剤を使う前には必ず裏面の使い方を読むこと。が一番のコツかもしれませんね。
接着剤を途中まで使って余った時も箱やパッケージは捨てずに、
使い切るまで接着剤と一緒に保管しておきましょう。

接着剤を使う前に…

接着面の汚れは取っておきましょう。

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汚れや油が付着していると本来の力を発揮できません。
注意が必要なのは、素手で接着したい部分を触ってしまうと手の脂が付着してしまい、接着剤の妨げになってしまいます。
金属やプラスチック系など表面がツルツルしている材は特に気をつけましょう。

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アルコール系で拭いてもいいですが、脱脂スプレーなどを使うと尚よしです!

接着面積は広い場所を

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接着剤は小さな接地面がとても苦手です。
できるだけ接地面を平らに広くしてあげることで、強く安定した接着が可能になります。
どうしても接地面が小さい時は、ヤスリで少しでも平らな面を作ってあげるか、
接着面を盛れるエポキシ系接着剤などで接地面積を増やしましょう。

素材と接着剤の硬さ

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接着剤は商品によって、弾力性を残して乾くタイプとカチカチに硬化するタイプがあります。
衝撃が加わる場所や、柔らかい素材を接着したい時は弾力性の接着剤で。
硬化後研磨して削りたい場所や、硬い素材を接着したい時はカチカチに硬化するタイプを選ぶと、
素材との相性が良いので、より長く綺麗に使うことができます。

接着剤別上手に使うコツ

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それでは代表される種類別に、それぞれの接着剤を上手に使うためのコツを紹介していきます。

【木工用接着剤】

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一般的に木工用接着剤は水分が乾くことで接着剤としての効果が発揮します。
ポイントはこちら

表面をやすりがけして傷をつける

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接着する両面をヤスリで傷をつけることで表面積が増え、
接着剤の染み込みもよくなるので接着効果がアップします。
だいたいヤスリの120番ぐらいでOKです。

片面に均一に塗布する

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まずはしっかりと木工用接着剤を接地面に均一に塗ります。
接着剤が接地面全面に当たらないと接着力が落ちてしまうので、全体に均一に伸ばしましょう。
少し塗りすぎて飛び出た部分はこの後に拭き取るので、少なくなりすぎないように塗ります。

圧着する

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クランプや重しを使って圧着しましょう。
木工用接着剤はこの圧着によって強度が一気に増します。重しよりクランプの方がより強固に接着できます。
はみ出た接着剤は、固く絞った雑巾などで拭き取っておきましょう。

4、早く接着したいなら

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木工用接着剤は水分を含んでいるので、乾燥した暖かいところに置いておくと早く乾きます。
逆に寒い場所だと、記載時間より長く時間がかかってしまうので、周りの気温にも注意しましょう。

【瞬間接着剤/シアノアクリレート系】

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有名なアロンアルファなどをはじめとする瞬間接着剤は、
「シアノアクリレート」という成分で構成されており、
乾燥による接着ではなく空気中の水分と反応して硬化する接着剤です。
実は使う前に下準備を丁寧にしてあげないと接着が難しい接着剤のひとつです。

表面の汚れや脂を除去する

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もし1度接着に失敗してしまって、接着剤の残りカスが接地面にあると効果が薄れてしまうので、
ヤスリなどで落としておきましょう。もちろん手の脂もNGです。

接地面は平らに

瞬間接着剤は凸凹面がとても苦手です。ピタッと接地面が合えば非常に強力に接着できるので、
ヤスリで調整して隙間のないように素材を調整しましょう。

塗りすぎ注意

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いっぱい塗った方が強くつくんじゃない?と思うかもしれませんが、
瞬間接着剤は多く塗ってしまうと、それだけ大量の水分が必要になってしまい、なかなか接着してくれません。
25mmぐらいの範囲に1滴程度で十分なので塗りすぎ注意です。

ほどよい水分

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瞬間接着剤は水分と反応して効果が始まります。
接着する面に少し「ハァー」と息を吹きかけてあげることで必要な水分が確保できるので、
接着作業をする前に少しやってみるといいですね。
瞬間接着剤専用の硬化促進剤スプレーもあるのでおすすめです。

衝撃に注意

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瞬間接着剤は硬化後はカチカチに固まるタイプが多いです。
そのため一般的には衝撃に弱いとされているので、柔らかい素材や
あまり頻繁に衝撃が加わるような場所には使わないようにしましょう。
ただし、最近では衝撃に強い瞬間接着剤も、各メーカーの努力により出てきたので、
どうしても瞬間接着剤でつけたい!という場面では耐衝撃タイプを使いましょう。

【弾力性多用途接着剤/合成ゴム系、シリコーン系接着剤】

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この合成ゴム系やシリコーン系というのは接着剤の主成分のことで、
硬化後も適度な弾力性が残っているため、衝撃に強く柔らかい素材の革やゴム、
金属やプラスチック、木材など様々な場面で活躍してくれる接着剤です。
すごく便利な接着剤ですが、使い方が少し特殊なので要チェックです。

表面をやすりがけする

木工用接着剤と同じように表面をやすりがけし、適度な傷が入った状態にします。
このタイプの接着剤は多少接地面が凸凹していても大丈夫ですが、
汚れや油分は苦手なのでやすりがけと同時に落とします。

両面塗布

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接着剤は両面に隙間がないように、薄く均一に塗布します。
粘り気があり、伸ばすのは少し大変かもしれませんが、ヘラなどを使って全体に伸ばしていきましょう。

一度乾かす!

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合成ゴム系やシリコーン系の接着剤は溶剤が乾いてから接着する必要があります。
なんとなく、乾いてしまってから貼り付けてもくっつかないんじゃ!?
と思うかもしれませんが実は違います。
両面塗布した接着剤が手につかなくなるぐらいまで一度乾かします。(5分〜15分程度)
この時すぐに貼り合わせてしまうと、いつまでもグニグニと乾かないので注意しましょう。

強く圧着&衝撃を加える

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適度に乾いたら、接着剤をつけた面をギュッと圧着してくっつけます。
ある程度場所が決まったら、ゴムハンマーなどで衝撃を加えてあげるとさらに強固に接着できます。

注意

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飛び出た接着剤は弾力性があるので、やすりで削ったりすることが難しいので、
接着中にはみ出た時は、乾く前に拭き取っておきましょう。

【硬化多用途接着剤/エポキシ系接着剤】

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主剤と硬化剤を混ぜて使う2液性のエポキシ接着剤です。
硬化後は肉減りが少なくカチカチに固まるので、比較的接地面が小さいモノや硬い素材が得意です。

表面をやすりがけする

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エポキシ系はツルツルした面同士の接着が苦手です。
やすりで適度にザラザラにしてあげることで投錨効果が上がり、
強い接着が可能になります。
また油分も苦手なので、脱脂することは忘れずに。

接着剤を混ぜる

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準備ができたら主剤と硬化剤を混ぜます。
この時同量を混ぜること、ムラなく混ぜることに注意しましょう。
混ぜ方が悪いと硬化不良になってしまい、本来の接着力が出ません。
爪楊枝やヘラなどを使ってしっかりと混ぜましょう。

接着

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エポキシ接着剤は硬化後の肉減りが少なく、充填剤のように使うこともできます。
もし接着面に隙間や穴がある場合は、その中にも行き届くように塗りましょう。

硬化時間と固定

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エポキシ接着剤は混ぜ合わせた瞬間から化学反応がおきます。
そのため、硬化時間の調整がしやすく、早いもので1分から硬化が開始するものや、
90分経ってから硬化が始まるものもあります。
作業量や面積によって適した硬化時間が選べるのも強みです。

【紫外線硬化系接着剤】

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瞬間接着剤ほどではないですが、硬化スピードが非常に早い接着剤が多いタイプです。
水分や溶剤の揮発で硬化するのではなく、紫外線のライトを当てることで硬化します。
ある程度の肉盛りができるので、充てんしながらの接着が可能な便利で新しい接着剤です。

接着面のやすりがけ

接地面は粗めのヤスリで傷をつけておくと、
接着剤の食いつきが良くなるのでより強固に接着することができます。

1度目を塗る

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1mm程度の厚みで接着剤を塗りましょう。
一度にたくさん塗ると硬化不良の原因になるので塗りすぎには気をつけましょう。

紫外線ライトを当てる

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接着剤を塗った面に紫外線ライトを当てましょう。
数秒程度近くで照射すると硬化します。

塗り重ねる

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この接着剤は何度も上に塗り重ねていくことができるので、
接地面が小さく他の接着剤で難しい時も、補強をしながら接着することができます。

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削って整える

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硬化後はプラスチックと同じような性質を持つので、ヤスリによる研磨ができます。
形を整えて突起をなくし滑らかにすることで、剥がれ防止にもなります。

接着する場所に注意

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紫外線硬化系の接着剤はUVライトを当てれない場所だと硬化しません。
そのため不透明の面と面を取り付ける際にはUVライトの光を奥まで当てることができないので、効果不良になる可能性があります。
使えるのはUVライトを照射できるところなので接着場所には注意しましょう。

充てん接着ができるので、こんな小さな接着面でも自由な形で遊べます

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まとめ

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いかがでしたか?
接着剤はただ塗ってつけるだけでなく、種類によって使い方がこんなに違うんです。
ここで紹介した使い方はあくまで代表的な使い方なので、購入した商品の説明は必ず確認してから使いましょう。
DIYに接着剤は必須アイテムです。
接着剤を使いこなして失敗しないDIYにチャレンジしてみてください。

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