「この壁に棚を取り付けたい!ここにコートハンガーがあればいいのになー」「でも壁の中ってどうなっているのか分からなくて手が出せない…」そんな風にDIYをためらっていたらもったいない!もっと壁DIYを楽しむために ①下地の探し方 ➁アンカーの取り付け方 ③壁の構造 の3本立てでわかりやすく解説していきます。
監修者 : 株式会社大都(DIY FACTORY) 代表取締役 山田 岳人
DIY事業を運営する大都(DIY FACTORY)の代表取締役。1969年石川県生まれ。大学卒業後にリクルートに入社、6年間の人材採用の営業を経て大都に入社。2011年、代表取締役に就任。社団法人日本DIY協会が認定する「DIYアドバイザー」の資格を持つ。 メディア取材:読売新聞、TKCグループ、ログミーBiz、日本経営合理化協会、事業構想、INOUZTimes...他(順不同)
監修記事一覧へ
1.柱・下地の探し方
1壁を叩いてみる
「ペチペチ」と詰まった音なら柱やコンクリートが、「コンコン」と軽い音なら石膏ボードなどが貼ってあり中が空洞であると分かります。ただし音の聞き分けだけで判断するのは難しいです。
2下地センサーを使う
市販の
下地センサーを使えば、壁の裏のどこに柱があるかを調べられます。商品によって、対応できる厚みが違ったり、下地の素材を感知できる種類など様々なので必要に応じたものを選ぶようにしましょう。
3下地センサーの使い方動画
動画のように、柱がある場所に来ると音と光でセンサーが反応してくれます。反応した箇所の後ろには柱があるので、そこなら直接ネジで何かを取り付けても大丈夫ということになります。センサーが反応しなかった場所は空洞なので直接ネジを締めて何かを取り付けても石膏ボードが重さに耐えきれず崩れてしまいます。
そんな時は「アンカー」というものを使えば簡単なんです!アンカーについては後ほど説明します。
4下地センサーの売れ筋ランキングをチェック
Amazonの売れ筋商品を見る
5ピンを刺す
思い切って虫ピンや専用の針などを刺してみる方法もあります。刺さらなければコンクリート、刺して白い粉がつけば石膏ボード、刺さるけど何もつかなければベニヤ板であることが分かります。石膏ボードやベニヤ板の場合、スカっと奥まで刺ささるところには間柱がありません。下地の厚みを知りたい場合は、間柱のある所でメモリのついたピンなどを刺し厚みを測りましょう。
下地探し専用の刺し針も市販されています。
上記のような方法で下地を探してみて、棚を取り付けたい場所のちょうど裏に柱があればそこに直接打ち付けてOK!しかし、都合のいい場所に柱があるとは限りません。そこで便利なのがアンカー。詳しく紹介します。
下地のない石膏ボード壁にはアンカーを使おう
アンカーとは、石膏ボード壁の空洞部分に物を取り付ける際に使用する補強アイテムのこと。ただし、あまりに重いものや力がかかるものは取り付けられないので、各商品の注意書きを見るようにしましょう。
アンカーを使って棚受けを取り付けるとこんな感じ!
後ろに柱などの下地が入っていない石膏ボードにアンカーをねじこんで、その上から棚受けと一緒にネジをとめていくことができるんです。アンカーがしっかり食い込んでくれているので、もろい石膏ボードでもしっかり棚を支えてくれるということですね!ここで使用したのは「カベロック」というものですが、アンカーにはこれ以外にもいろんな種類があります。それぞれの利点や使い方を学びます。
アンカーの種類によって「下穴」という事前にあけておく穴が必要なものとそうでないものがあります。それぞれ分けて紹介しましょう。
2.アンカーの取り付け方!アンカーの種類5つと便利グッズ
1. 【下穴不要】一番お手軽!カベロック
下穴をあける必要もなく、ドライバー1本で取り付けられるのでとても手軽です。電動ドリルを使うとネジ穴が舐めてしまうこともあるので、手持ちドライバーで押し込むようにアンカーを取り付けましょう。
2. 【下穴不要】石膏くぎ
吊り金具を細い専用のクギで固定するもので、クギを斜めに3本クロスさせて使用します。取り外すとき傷跡がほとんど残らず特別な工具も不要なので便利です。
3. 【下穴が必要】トグルアンカー(トグラー)
ドリルで直径8mmの穴をあける必要があります。羽を閉じた状態で下穴にアンカーを入れ、軽くたたいて壁と同一平面にします。備え付けの赤いピンを挿入し壁の裏側にアンカーを開きます。取付物を据えてネジを締めます。
4. 【下穴が必要】モノマックス
ドリルで直径8mmの穴をあけ、木ネジまたはタッピングビスと一緒に下穴に押し込むことで壁の裏側にアンカーが開きます。壁の中の空間が狭い場合や、壁の厚みがわからない場合にも使うことができるのが特長です。
5. 【下穴が必要】ボードアンカー
壁の裏側で金属製の傘が開いてガッチリ固定できるアンカーです。下穴をあけて壁に差し込み、付属のネジを締めることで固定できます。石膏ボードの場合、回しすぎると壁の内側で崩れることがあるため、壁の厚みによって種類を選ぶ必要があります。
アンカーを取り外す場合
取り外した後には穴が開くので補修が必要になります。特にアンカーを外した後にはネジよりも大きい穴が開きます。穴の空いた部分にメッシュを貼りパテを塗って埋めると良いでしょう。上から同じ壁紙をはるとより目立たなくなります。
コンクリート壁に棚を取り付ける方法
コンクリートに下穴をあける
まず、下穴を開けます。ハンマードリル・振動ドリル・インパクト対応コンクリート用ビットなどで穴をあけましょう。ネジの長さより深い穴が必要になるため、ドリルにビニルテープなどで印をつけておくといいです。穴あけ後は穴の中のコンクリートの粉を掃除すること。
コンクリート用アンカーを取り付ける
アンカーを使う場合、下穴にコンクリート用アンカーをハンマーで叩き入れます。下穴がまっすぐ開いていないと、アンカーが完全に埋まらないので注意すること。
アンカーに付属しているネジを使って取り付けたいものを設置すれば完成!ネジが長すぎると閉まらないので長さをそろえること。
壁に穴をあけてはいけない賃貸や分譲マンションの場合
マンションの管理規定で壁に穴をあけることができないという場合でも、諦めないでください。別の方法があるんです!どこのホームセンターでも売られているツーバイフォー材という木材を床と天井で突っ張ることができるDIYパーツを使えば簡単に棚DIYを楽しめます。
3.壁の知識!棚を取り付けたい壁の構造を知ろう
木造の戸建てと鉄筋コンクリートのマンション
一般的に戸建は木造、マンションは鉄筋コンクリート造であることが多いです。木造と鉄筋コンクリート造で壁の構造が異なる部分もあるので、まずは自宅の造りを把握したうえで以下ご覧ください。
日本の住宅の9割は石膏(せっこう)ボード壁でできている
木造の場合、上図のように「間柱」という柱を等間隔に立て、そこに防火性・遮音性などに優れた「石膏ボード」を取り付け、その上に塗装や壁紙を貼っていることが多いです。このような石膏ボードの壁に棚などを取り付けたい場合は柱の場所を探して柱にネジを締めて固定するか、柱のない空洞の場所でも取り付け可能な「アンカー」という特殊なアイテムを使うかの2種類に分かれます。
石膏ボードとアンカーってなに?
左の写真が石膏ボード。一般に壁や天井に使われる建築材料で、日本の9割の住宅で使用されています。自宅の壁も壁紙や塗装を剥がせば下はこんな石膏ボードが柱に打ち付けられていることがほとんどです。安価で加工しやすいですが衝撃に弱く割れやすいため、専用のアンカーを使用しなければ重い物の取り付けはできません。思春期のお兄ちゃんが怒りに任せて壁を殴って穴をあくのを想像してもらえれば、そのもろさがイメージできると思います(笑)
右の写真がアンカー。もろい石膏ボードにしっかり食い込んで、その上からネジを締めることができる便利アイテムです。詳細は後述します。
古い家に見られる壁の構造
少し古い家なら、石膏ボードではなくベニヤ板(左図)や真壁(右図)仕上げの壁も見られます。ベニヤ板は厚みにもよりますが直接ネジや釘を打つことができます。触ってペコペコした感触であれば、板に厚みがないので下地になる間柱や胴縁を探しましょう。また、日本の伝統的な家にある真壁の場合は、柱が見えているため物の取り付けは柱に直接つけるか、壁の裏にある間柱を探して取り付けます。
要注意。鉄筋コンクリートマンションの壁構造
鉄筋コンクリートのマンションの場合、賃貸だと壁の穴あけが禁止されていることが多いです。分譲マンションでも構造用の壁は共有部分みなされ、賃貸同様穴あけができない場合があります。DIYする際はマンションの管理規定などを必ずお読みください。壁に穴をあけなくても棚を取り付けるおすすめの方法(後述)があるので諦めないでくださいね。
DIY可能なマンションの場合でも、「外に面した壁」や「となりの家との間の壁」など場所によって構造が変わることがあります。具体的にいうと以下の3つ
・外に面する壁
・外に面していないけどコンクリートに直接施工している壁
・外に面していないけど構造材が入っていない壁
以上が一般的な種類です。それぞれ説明しますね!棚を取り付けたい壁がどの構造にあたるか分かっておけば、下地の検討がつくので知っておくと便利です!
1外に面する壁
間柱やボードの間に断熱材が入っていることが多いので、アンカーを打てば先が断熱材に刺さることもあり、注意が必要です。古い家の場合はアスベストを含む断熱材が入っている可能性もあるので自宅の断熱材が何なのかをしっかり調べたうえでの作業をおすすめします。断熱材が多少傷ついても気にならないのであれば自己責任で、不安な場合はメーカーなどに問い合わせてみてください。
2外に面していないがコンクリートに直接施工している壁
壁紙や塗料、石膏ボードなどをコンクリートに直接貼ったり塗ったりしていることがあり、ネジを打ち付ける下地がない場合が多いです。例えば、左図のように大きな団子状になったGLボンドという接着剤でコンクリートと石膏ボードを固定しているもの。このGLボンドにはアンカーを打てません。もう1つは右写真のようにコンクリートに直接塗装したり壁紙を貼ったりしているもので、この場合はコンクリート用のアンカーであれば打つことが可能です。方法は後述します。
3外に面していないが構造材が入っていない壁
木製の柱などの構造材は入っていませんが、LGSと呼ばれる軽天鉄骨などで下地を組んでいることが多いです。LGSにネジを打って棚を取り付けることはできますが
軽天ビスという専用のネジが必要になります。
以上のように場所によって下地の種類が変わることがあります。これらを理解しておけば、DIYしたい壁の下地がどのようになっているか見当をつけることができますね。壁の構造が分かったところで、続いては下地の探し方についてです。
終わりに
このコラムでは壁の構造を知る方法から、どんな道具を使って作業するかまでをご紹介しました。飾り棚やオシャレなフック、コートハンガーなどを取り付けて、もっと壁DIYを楽しんでくださいね!